北海道・札幌の社会

【蘭越、寿都】後志管内蘭越町の土捨て場で、札幌市豊平区の無職上野雪絵さん（３７）が殺害され、長女（７つ）も重傷を負って見つかった事件から二十九日で二週間。倶知安署の捜査本部は、上野さんが交友関係のトラブルにより殺害されたとみて、同管内寿都町の男性を任意で数回、事情聴取したが、容疑者の特定には至っていない。捜査本部は、凶器や遺留品の捜索を続ける一方、上野さんの携帯電話の履歴や目撃情報をもとに、事件前後の足取りを調べている。

　これまでの調べで、上野さんの携帯電話の発信歴や自宅アパートで見つかったメモなどから、上野さんと交友関係にあった十人前後の男性が浮上。このうち、寿都町の男性は、上野さんが行方不明となった十四日午後に上野さんと会っていたことが判明したため、捜査本部は二十日から数回、男性を任意で聴取した。

　調べに対し、男性は「十四日の日中に上野さんと会い、夕方にアパートの近くに送った。長女とも会った」などと話しているという。しかし、その後については「一人で休みながら車で深夜、自宅に帰った」と、事件への関与を否定している。

　男性は、九月初めに上野さんと出会い系サイトで知り合い、十四日も電話で複数回、連絡を取っていたという。事件が起きた土捨て場にも、過去に工事関係者として出入りしていたとみられる。

　また、上野さんと長女は金属製の棒のようなもので頭部を殴られたとみられるが、凶器は見つかっていない。二人の携帯電話は寿都町の海岸で発見されたが、上野さんの財布は見つかっていない。また、現場の土捨て場から複数のタイヤ痕は確認されたが、手がかりとなるものはなく、十四日夕方以降の上野さんらの目撃情報も寄せられていない。

　一方、重傷を負った長女は現在も札幌市内の病院に入院しており、生命に別条はないが、詳しい話を聞くことはできない状態だという。捜査本部は、上野さんが出会い系サイトなどを通じて、複数の男性と交友関係にあったとみており、事件との関連を慎重に調べている。
(北海道新聞　引用)