北海道・札幌の社会

【芦別】芦別市の芦別市役所二階の女子トイレに十四日、黒いビニール袋が置かれているのを市民が見つけ、市職員に届け出た。職員が袋を開けると、中から現金一千万円と現金を寄付する内容の市長あてのメモが入っていた。市は突然の善意に感謝しながらも、あまりに多額なため、いったん芦別署に保管を依頼し、今後、顧問弁護士とも相談の上、取り扱いを決めることにしている。

　芦別市によると、現金はビニール袋に何重にもくるまれ午前十時すぎ、二階女子トイレの出入り口そばの洗面台付近に置かれていた。すべて一万円札で、「市長さまへ」と書かれた匿名のメモが添えられ、手書きで「お世話になりました。小さなことにでも使ってください」と書かれていた。贈り主を推測させるような内容は記されていないという。

　二階の女子トイレはフロアのほぼ中央にあり、窓口カウンターが並ぶ一階のトイレに比べ、市民の利用は多くないという。また、発見当時、該当するような人物を見かけたという情報もない。

　市は「財政難の折、ありがたい」と善意に感謝する一方、「匿名で寄せられただけに寄付者を特定できず、意志の確認のしようがない」と話す。

　金額も飛び抜けているだけに、寄付者を特定できなかった場合、法律上の帰属の問題もあり、そのまま市の金庫に収納することもちゅうちょしている。とりあえず、現金を芦別署に持ち込み、一時保管を依頼。顧問弁護士とも相談の上、今後の取り扱いを決めたいとしている。

　道警によると、一般論として、贈り主が匿名でも、寄付しようとする先が明記されていれば、寄付として受け取ることは可能だという。また、拾得物として処理されると、落とし主が判明しない場合、半年を過ぎると拾得者の所有になる。

　今年、札幌市役所や道庁など、全国の市役所や県庁で一万円札入りの封筒が見つかった際には、あて先が特定されていなかったことから、拾得物として警察に届けられた。

(北海道新聞　引用)